★悩み★
・オンプレのKubernetesでロードバランサーって使えないのかな。
・オンプレのKubernetesでtype: LoadBalancerを使う手順を知りたい。
・そもそもロードバランサーって何?また、MetalLBとは、何ですか?
こういった「悩み」に答えます。
★本記事の内容★
① Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは、何か?を紹介
② オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備を紹介
③ オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順を紹介
これからご紹介する「オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順」を実践したことで、3時間以内で「オンプレのKubernetesでtype: LoadBalancer」使えました。
記事の前半では「Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは、何か?」を解説しつつ、記事の後半では「ロードバランサーの1つであるMatalLBを使う手順」を紹介します。
この記事を読み終えることで、「オンプレのKubernetes上でロードバランサーを利用したPodを作成できる」状態になります。
★Kubernetesとは★
Kubernetesを利用することで、マイクロサービスなシステムを構築できます。Kubernetesを利用したマイクロサービスに関して知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
Kubernetesとマイクロサービスについて
ちなみに、「Kubernetesを体系的に学習したい」方には、以下の記事がお勧めです。
Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは、何か?
「Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは、何か?」に関してご紹介します。
★Kubernetesのロードバランサーに関するご紹介事項★
・Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは?
・オンプレのKubernetesに導入するロードバランサー(MetalLB)とは?
以降で、上記「Kubernetesのロードバランサーに関するご紹介事項」の各項目に関してご説明します。
Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは?
「Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは?」に関してご説明します。
図を用いながら、「Kubernetesのロードバランサーとは?」を説明しますね。
Kubernetes上に「アプリケーションのPod」を作成する場合、Deployment経由で作成します。KubernetesのDeployment経由でPodを作成することで、下図のように異なるノード間でPodを作成できます。
ただし、Deployment経由でPodを作成した場合、以下の不都合があります。
・利用者が、どちらか一方に配備したPodのみにアクセスしてしまう
→ アクセス集中によるアプリケーションの性能が劣化
・Podが再起動された場合、PodのIPアドレスが変更されてしまう
→ 再起動前のPodのIPアドレスを記載した手順書などの変更が必要
上記の不都合を解消するために、「Kubernetesのロードバランサー」を利用します。Kubernetesのロードバランサーを利用することで、下図のようにPodにアクセスできるようになります。
LoadBalancer ServiceをKubernetesクラスタに配備後、Service定義ファイルに「type: LoadBalancer」を記載することで、上図のようにロードバランサーを用いたPodを起動できます。
「Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)」を利用することで、以下の利点があります。
・ロードバランサーによって、通信の分散を実現できる
→ 片方のPodへのアクセス集中によるアプリケーションの性能劣化を防止
・ロードバランサーに付与されたIPを利用し、Podへアクセスできる
以上が、「Kubernetesのロードバランサー(type: LoadBalancer)とは?」になります。
オンプレのKubernetesに導入するロードバランサー(MetalLB)とは?
「オンプレのKubernetesに導入するロードバランサー(MetalLB)とは?」に関してご説明します。
Kubernetes上では、ロードバランサーのサービス(LoadBalancer Service)も配備できます。
MetalLBを使うことで、オンプレのKubernetesでもLoadBalancer Serviceを利用できるようになります。MetalLBは、以下の特徴を有するLoadBalancer Serviceです。
★MetalLBを用いて、できること★
・MetalLbは、Kubernetes上で動作するOSS(無料のソフトウェア)
・オンプレのKubernetesでロードバランサー(type: LoadBalancer)を利用可能
・利用者が設定したIPの範囲から、ロードバランサーにIPを付与
IPの範囲を「192.168.10.170-192.168.10.200」とした場合、
ロードバランサーに「192.168.10.171」などが付与される
ちなみに、2021年6月28日時点で、MetalLBのプロジェクトは「β版」となっています。そのため、商用実績は少ないです。商用事例としては、「サイボウズ」があります。
MetalLBの公式サイト
以上が、「オンプレのKubernetesに導入するロードバランサー(MetalLB)とは?」となります。
MetalLBを利用することで、オンプレのKubernetesでも「ロードバランサー(type: LoadBalancer)」を使えます。
オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備
「オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備」に関してご紹介します。
★オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備★
手順1:Kubernetesクラスタをオンプレに構築
手順2:構築したオンプレのKubernetesクラスタの状態確認
上記の流れで、「オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備」ができます。
上記の各手順は、以下の日時と環境で動作確認済みです。
動作確認済み日時:2021年6月3日
動作確認済み環境:CentOS Linux release 7.7.1908 (Core)
以降で、上記「オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う為の準備」の各手順に関してご説明します。
手順1:Kubernetesクラスタをオンプレに構築
「手順1:Kubernetesクラスタをオンプレに構築」に関してご説明します。
オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使うために、Kubernetesクラスタをオンプレに構築しましょう。
「Kubernetesクラスタの構築手順」に関しては、以下の記事をご覧ください。
上記手順を実施することで、以下のKubernetesクラスタを構築できます。
以降の手順では、上図のKubernetesクラスタを想定として手順を解説します。
既にKubernetesクラスタを構築済みである場合、本手順を省略してください。
以上で、「手順1:Kubernetesクラスタをオンプレに構築」は完了です。
手順2:構築したオンプレのKubernetesクラスタの状態確認
「手順2:構築したオンプレのKubernetesクラスタの状態確認」に関してご説明します。
構築したオンプレのKubernetesにおいて、ロードバランサー(MetalLB)を使える状態になっているかを確認しましょう。
「構築したKubernetesクラスタの状態確認」に関しては、以下の記事「手順2:構築したKubernetesクラスタの状態確認」をご覧ください。
以上で、「手順2:構築したオンプレのKubernetesクラスタの状態確認」は完了です。
上記の流れで、オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を利用するための準備ができました。
オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順
「オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順」に関してご紹介します。
★オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う流れ★
手順1:MetalLBをオンプレのKubernetes上に配備
手順2:オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定
手順3:ロードバランスを利用するPodをオンプレのKubernetesに作成
手順4:オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)の動作確認
上記手順を実施することで、オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を利用できます。
上記の各手順は、以下の日時と環境で動作確認済みです。
動作確認済み日時:2021年6月3日
動作確認済み環境:CentOS Linux release 7.7.1908 (Core)
以降で、上記「オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う流れ」の各手順に関してご説明します。
手順1:MetalLBをオンプレのKubernetes上に配備
「手順1:MetalLBをオンプレのKubernetes上に配備」に関してご説明します。
オンプレのKubernetesでロードバランサーを使うために、MetalLBを配備しましょう。
オンプレのKubernetes上にMetalLBを配備するために、マスターで以下のコマンドを順に実行してください。
# kubectl apply -f https://raw.githubusercontent.com/metallb/metallb/v0.9.6/manifests/namespace.yaml
# kubectl apply -f https://raw.githubusercontent.com/metallb/metallb/v0.9.6/manifests/metallb.yaml
# kubectl create secret generic -n metallb-system memberlist --from-literal=secretkey="$(openssl rand -base64 128)"
# kubectl get ns | grep metallb
metallb-system Active 2d11h
# kubectl get pod -n metallb-system
NAME READY STATUS RESTARTS AGE
controller-64f86798cc-92xww 1/1 Running 3 2d11h
speaker-7zz6v 1/1 Running 3 2d11h
speaker-hlldb 1/1 Running 3 2d11h
コマンド実行後、「metallb-system Active」と「controllerとspeakerがRunning」が表示された場合、「MetalLBをオンプレのKubernetes上に配備できた」と判断できます。
以上で、「手順1:MetalLBをオンプレのKubernetes上に配備」は完了です。
手順2:オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定
「手順2:オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定」に関してご説明します。
オンプレのKubernetesでPodの負荷分散をするためには、MetalLBの設定が必要です。
以下のような「MetalLBの設定ファイル」を作成しましょう。ファイル内の「適宜変更」と書いてある部分は、自分用に書き換えてください。
apiVersion: v1
kind: ConfigMap
metadata:
namespace: metallb-system
name: config
data:
config: |
address-pools:
- name: default
protocol: layer2
addresses:
- 192.168.10.170-192.168.10.200 #ロードバランサーに付与したいIPアドレスの範囲を指定(適宜変更)
上記の定義を「l2-configuration.yaml」というファイル名で保存しましょう。保存後、オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定を変更するために、マスターで以下のコマンドを実行してください。
# kubectl create -f l2-configuration.yaml
configmap/config created
#
コマンド実行後、「configmap/config created」が表示された場合、「オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定を変更できた」と判断できます。
以上で、「手順2:オンプレKubernetesに配備したMetalLBの設定」は完了です。
手順3:ロードバランスを利用するPodをオンプレのKubernetesに作成
「手順3:ロードバランスを利用するPodをオンプレのKubernetesに作成」に関してご説明します。
Deployment経由で「ロードバランスを利用するPod」をオンプレのKubernetesに作成しましょう。
ロードバランスを利用するPodを作成するために、以下の定義ファイルを作成しましょう。
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
labels:
app: sample-http
name: sample-http
spec:
replicas: 2
selector:
matchLabels:
app: sample-http
template:
metadata:
labels:
app: sample-http
spec:
containers:
- image: httpd
name: httpd
---
apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
labels:
app: sample-http
name: sample-http
spec:
ports:
- port: 80
protocol: TCP
targetPort: 80
selector:
app: sample-http
type: LoadBalancer
上記の定義を「lb-sample.yaml」というファイル名で保存しましょう。保存後、「ロードバランスを利用するPod」をオンプレKubernetes上に作成するために、マスターで以下のコマンドを順に実行してください。
# kubectl apply -f lb-sample.yaml
deployment.apps/sample-http created
service/sample-http created
# kubectl get pod,svc
NAME READY STATUS RESTARTS AGE
pod/sample-http-6c94f59975-2gt8l 1/1 Running 0 47s
pod/sample-http-6c94f59975-xfxzg 1/1 Running 0 47s
NAME TYPE CLUSTER-IP EXTERNAL-IP PORT(S) AGE
service/kubernetes ClusterIP 10.233.0.1 <none> 443/TCP 52d
service/sample-http LoadBalancer 10.233.21.122 192.168.10.171 80:30278/TCP 47s
#
コマンド実行後、「service/sample-httpのEXTERNAL-IP部分にIPアドレス」が表示された場合、「ロードバランスを利用するPodを作成できた」と判断できます。
以上で、「手順3:ロードバランスを利用するPodをオンプレのKubernetesに作成」は完了です。
手順4:オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)の動作確認
「手順4:オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)の動作確認」に関してご説明します。
オンプレのKubernetesに配備したPodで、ロードバランサー(MetalLB)の動作を確認しましょう。
オンプレのKubernetesに配備した1つのPodにログインし、ファイルを書き換えるために、マスターで以下のコマンドを順に実行してください。コマンド内の「適宜変更」と書いてある部分は、自分用に書き換えてください。
# kubectl get pod
NAME READY STATUS RESTARTS AGE
pod/sample-http-6c94f59975-2gt8l 1/1 Running 0 47s
pod/sample-http-6c94f59975-xfxzg 1/1 Running 0 47s
# ↓ -it に指定する値は、適宜変更すること ↓
# kubectl exec -it sample-http-6c94f59975-2gt8l /bin/bash
root@sample-http-6c94f59975-2gt8l:/usr/local/apache2# cat htdocs/index.html
<html><body><h1>It works!</h1></body></html>
root@sample-http-6c94f59975-2gt8l:/usr/local/apache2# echo "kakedashi-xx.com is a good blog." > htdocs/index.html
root@sample-http-6c94f59975-2gt8l:/usr/local/apache2# exit
exit
#
上記コマンド実行後、オンプレKubernetesでロードバランサー(MetalLB)の動作を確認するために、マスターで以下のコマンドを順に実行してください。コマンド内の「適宜変更」と書いてある部分は、自分用に書き換えてください。
# ↓ 指定するIPアドレスは、service/sample-httpのEXTERNAL-IPに記載されたIPを指定(適宜変更) ↓
# curl 192.168.10.171
kakedashi-xx.com is a good blog.
# curl 192.168.10.171
<html><body><h1>It works!</h1></body></html>
#
上記のように「時々、curlのコマンド結果が異なる」ことが確認できた場合、MetalLBによって、アプリケーションの負荷分散ができたと判断できます。
上記の流れで、オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使うことができました。
ちなみに、「Kubernetesのアーキテクチャを体系的に学びたい」や「AWSなどのクラウド環境でのロードバランサーの使い方」を知りたい方は、以下の参考書がオススメです。
動画で「Kubernetesのアーキテクチャを体系的に学びたい」や「AWSなどのクラウド環境でのロードバランサーの使い方」を学びたいという方には、以下がオススメです。
【まとめ】オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順
今回の記事を通して、「オンプレのKubernetesでロードバランサー(MetalLB)を使う手順」をご紹介することで、以下の悩みを解消しました。
★悩み★
・オンプレのKubernetesでロードバランサーって使えないのかな。
・オンプレのKubernetesでtype: LoadBalancerを使う手順を知りたい。
・そもそもロードバランサーって何?また、MetalLBとは、何ですか?
「オンプレのKubernetesでロードバランサーを使う方法ってないの?」や「そもそもロードバランサーって何?」で悩んでいるあなたにこの記事が少しでも役に立てれば幸いです。
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